同種?別種?それとも3種?2010年02月03日

ここしばらく見ていた標本の多くが,モリカワカアマシムシ(Baculentulus morikawai)とトサカマアシムシ(B. tosanus)であった.実は,この2種には悩ましい問題がある.この2種は大変よく似ていて,区別点は大きさに依っている.同一地点のサンプルで,綺麗に体長や前肢ふ節長の違いのでるものもあれば,一連のシリーズの中に収まってしまうように見えるものもある.はたして,これは同種なのか,別種なのか.

故Tuxen先生はこの2種は同種であるとしている.しかし,同一サンプルで,体長や前肢ふ節長の大きさの違うグループを見ると,見た目の雰囲気(なんか客観的でない凄い表現ですが)が違い,同種とは思えないところもある.一方で,体長や前肢ふ節長の大きさが一連のシリーズに収まってしまい,ここ違いがあると明確に区別できないこともある.

さらに複雑にしているのが,モリカワカアマシムシでは頭部に付加毛のある型と無い型があることである.この両型は同じサンプルから出現する.これまでの観察では,この頭部付加毛はasymmetricに存在することはないので,どうも安定しているらしい.これを分類表徴と見れば,同一地点で採集されているのでそれぞれの型は別種となる(当然,単なる型と見ることも出来る).

はたして,これらをどう扱うべきなのか.細かく他の特徴を見れば,もしかしたら新たな違いが見つかるかもしれないが,まだ確認できていない.

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