那須御用邸澄空亭のカマアシムシ類 ― 2019年07月22日
那須御用邸澄空亭のカマアシムシ類が公表された。
栃木県立博物館研究紀要-自然- 第36号,15-19.
印刷されるまでに少し時間がかかってしまった。内容というわkではなくて,予算的なもんっ台だったようだ.内容は那須御用邸澄空亭の一部を以前と同じように草地にするために樹木が伐採されたが、それに伴い土壌動物がどのように変化するかを調べるための調査が行われた。そのサンプルを検鏡し、ファウナをまとめたもの。
3科9属21種が確認された。
Acerentulus kisonis,Baculentulus morikawai,B. tosanus,Filientomon takanawanum,Kenyentulus japonicus,Nipponentomon nippon,N. uenoi paucisetosum
Hinomotentomon nipponicum
Eosentomon asahi,E. dubium,E. impar,E. imperiale,E. inconditum,E. longispine,E. morei,E. sakura,E. simulans,E. spatulatum,E. sp.,Osientomon japonicum,Pseudanisentomon sp.
H. nipponicumが1個体のみだが記録された。また、Osientomon japonicumも記録された。
今回の記録は全体としてみると,冷温帯の地点ではあるが暖温帯に主に分布する種が多い
ことに特徴がある.また、攪乱環境に出現する種が多いことも特徴である.調査地が冷温
帯域にありながらも,得られた種の多くが暖温帯系の種で占められていたのは,放牧地と
しての長年の利用と2011年に行われた樹幹の伐採のといった攪乱の影響によるものであろ
うと推測された.
伐採に伴う変化を解析したのだが、明確な傾向、結果を示すことができず、論文化できなかった。このサンプル入手では多くの方の尽力をいただいたが、特に故Sさんには何かとお世話になっている。今回のサンプルにも新種(だと思うもの)が含まれている.まだ未処理のサンプルも多数ある。そのサンプルを処理し、少しでも日本のカマアシムシ類を明らかにすることでその恩に報いたい。今回の報告でほんの少しは返せただろうか。