東京で博物館関係者の集まり2011年09月02日

昨日(1日),東京のC大学で博物館関係の打合会があり,出席した.博物館関係と言っても,本来は日本全部が対象なのだろうが,事情があって関東地区のみ.
 いろいろ課題はあるが,ちょっとしたところに規模や予算の違いを感じるところがある.うちが規模も小さくて,予算も少ないと言うこと.
 博物館の現状を考えたり,資料の管理問題などを考える良い機会ではあった.

地衣類からカマアシムシ類2011年09月04日

先日,北海道のOさんから送ってもらったサンプルを処理したことと地衣類からカマアシムシ類が得られたことは書いた.
 実は,樹幹に生育している地衣類からカマアシムシ類が得られたことは無いのではと,文献調査をしている.生息場所として,「moss, lichen」という言葉は出てくるが,それが地表なのか木に付着しているものなのかの記述が無い.これまでの記憶では,樹幹に生育しているものからの記録は無かったような.... いずれにしても,この記録は貴重なものには間違いない.公表する予定で準備中である.

イソプロピルアルコール2011年09月06日

北海道のOさんから,抽出時の保存液として97%イソプロパノールを使っているとの返事をいただいた.イソプロパノール(=イソプロピルアルコール)は保存液として最近は良く目にするものである.私は使ったことがないので,どのような感じなのかは分からない.
 このイソプロピルアルコールと標本が白っぽくなるのとは関係しているのだろうか.日本の普通種であるヨシイムシは通常黄色をしているが,今回いただいたものは全く黄色が認められず,真っ白だった(これは表現が難しいが,白っぽいがはっきりした白ではなく,透明でもない).これが影響しているのかなぁ~.

画のデジタル化で四苦八苦?2011年09月10日

以前,記載図などのデジタル化を考えていて,タブレットを購入したことは書いた.それが,購入しただけで,なかなかチャンスがなく全く使用していなかった.チャンスは作らなかっただけなのかもしれないが,1年も寝かせたままになってしまった.
 そろそろ取りかからないと,原稿が間に合わなくなる危険性を感じ,今日試してみた.いや~,難しい.なかなか綺麗に線が引けない.また,線の加工をどうやったら良いのか分からない点も多い.まだまだ前途多難そうである.これがうまくできると,いろいろと楽にはなりそうだが,うまくできるようになるのだろうか.......

図書「乾燥標本収蔵1号室」2011年09月19日

リチャード・フォーティーの乾燥標本収蔵1号室(渡辺・野中訳)を読んだ.大英自然史博物館の職員でもあった(ある)著者の自然史博物館への愛着とでもいうのだろうか.以前読んだ「大英博物館の舞台裏」は今ひとつピンとこなかった(本文中にも,自然史博物館は別だとの記述があった記憶がある)が,本書は分かりやすく面白かったし,頷ける部分が多かった.特に,第1,2章と最終の9章は,自然史博物館や分類学への記述は,規模の大小やスタッフの充実度の違いなどがあるが,そうだよなぁ~と感じた.しかしながら,大英自然史博物館でさえも博物館の研究環境は悪化の一途であることが示されている.あまりにレベルが違いすぎるが,生物多様性と言われているこの時期とはいえ,地方の小さな博物館ではさもありなんと感じた次第.
 第3章から7章(8章もか)には,自然史博物館の裏側,標本と奇人変人ナチュラリストが登場する.ほとんど読み物としてみていたが,一人だけ気になる名前を見た.それはトビムシ研究家のピーター・ロレンス.この人には連絡を取るようにと指示されたので,別刷りを送ったりしていたが,特に応答はなかった.それが,随分前だが,突然手紙が届いた.まさに,本にあるような「スケッチや手書きのメッセージを取り混ぜた」もので,確かに「みごと」ではあったが,内容は十分には理解できなかった.病気だとは聞いていたが,ロレンスの顛末を読んで納得した次第である.いただいた手紙は引っ越しのどさくさに紛れてどこに行ったか分からなくなってしまった.たいへん残念である.