Neanisentomon と Pseudanisentomon2011年03月16日

このたびの震災でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます.また,被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます.

今日,中国の研究者からこの1月に刊行された論文が送られてきた.内容は,Neanisentomonという属の新種記載である.この属は日本には産しない.Discussionで近縁属のPseudanisentomon(この属は日本にも出現する)との所属の問題を検討している.これらは,カマアシムシ科(Eosentomidae)のAnisentominaeという亜科に含まれるものである.気になって,この属の違いを比較してみると,第8腹節背板の中央毛Pcの有無と前肢ふ節の感覚毛の消失で属を区別している.個人的には,ちょっと分けすぎではないかと感じる.確かに中央毛Pcの有無というのは珍しい形質ではあるが,種の特徴としても良いのではないだろうか.今回の標本では,この毛序には変異があることが報告されていることだし.

「利尻島のカマアシムシ類」公表2011年03月23日

利尻島のカマアシムシ類については,2010年1月18日の記事「利尻島のカマアシムシ類」や同年1月24日の「続:利尻島のカマアシムシ類」で報告した.その内容を検討し直した報告が,利尻研究に載った.ちょっと面白い結果なのではないかと思っている(が,他の方はどのように思うだろうか).次のアドレスで論文を見ることができる.なお,冊子では白黒だが,webのpdfではカラーで4種の写真が載っている.
http://homepage.mac.com/rishiri/RS/3009.pdf

なお,礼文島のカマアシムシ類もあわせて調べており,こちらは昨年既に報告した.下のアドレスで見ることができる.
http://homepage.mac.com/rishiri/RS/2912.pdf

本「カエルの鼻」を読む2011年03月24日

廃棄処分と言うことでいただいてきてそのままになっていて,気になっていた本,ちょっと古い本だが「カエルの鼻 たのしい動物行動学」(八坂書房)を読んだ.著者の石居進氏は,私には学生時代に読んだ「生物統計学入門」(培風館)(こっちはもっと古いなぁ~)の著者のイメージが強い.
読んでみると,大変面白かった.著者がはじめにに「実は科学の研究の手順とはこういうものですという話がしたかったのです」とあるが,まさにそれが示されていると感じた.詳細な実験計画法の紹介があるわけではないが,様々な配慮のもとに実験計画を行い,統計学的検定法を適用することの重要性が分かる.
いろいろ考えさせてくれる本であった.

表紙画像